
アールイー株式会社が年に3回のペースで、コピス吉祥寺で開催している東京都産の農産物のPRをするマルシェイベント「農toマルシェ」は、次回の開催を11月に予定しています。
イベントに先駆けてマルシェ運営チームは、マルシェに野菜を届けてくださる生産者さんの畑にお邪魔し、前回のマルシェの報告や次回販売する農産品の相談などをはじめています。
8月4日には、立川市の3軒の生産者さんのもとを訪ねてきました。訪問には、マルシェイベントでフード提供を行っている若手料理人コミュニティ「Food HEROes U-30 COMMUNITY」のパティシエ・料理人のメンバーも参加し、次回のマルシェで提供する料理のイメージを膨らませていました。
東京都内でも希少な「食べられる花」を育てる|あみちゃんファーム
立川市栄町地区を中心に圃場をもつ「あみちゃんファーム」は、少量多品目で年間20種類程度の野菜を減農薬で栽培するほか、年間を通して「食べられる花」のエディブルフラワーを育てながら冬にはイチゴを出荷するなど独自の栽培品目で立川市でも人気のファーマーです。
直売所を併設する圃場を案内してくれたのは代表の網野信一さんです。真夏の8月ということもあって、圃場には名残の夏野菜があるほかは、秋に向けての準備中の状況でしたが、11月に向けて根菜類や葉物野菜が収穫されることをお聞きすることができました。




網野さんがとくに力を入れているエディブルフラワーのハウスでは、プランターなどに植えられた色とりどりの花が咲き誇っていました。あみちゃんファームでは、ペチュニア、ベゴニア、コーンフラワー、金魚草、ストック、マリーゴールド、なでしこ、ナスタチューム、きんせんか、コスモス、ビオラ、パンジー、菊など、豊富な種類のエディブルフラワーを育てています。エディブルフラワーの農家は、あみちゃんファームを入れて現在、東京都内でも2軒ほどしかないそうです。
美しい色はもちろん、大きさも大小さまざまあり用途によって使い分けができそうです。現在は、飲食店のほかホテルなどの注文が多いそう。色味のバランスをとってさまざまな花をミックスして送っているそうです。
Food HEROes U-30 COMMUNITYのメンバーには、秋山乃理子さんと野田美稀さんと都内で活動するパティシエもおり、デザートの飾りだけでなく、味もアクセントとして使えそうと、デザートのイメージを膨らませていました。






続いて、イチゴの栽培見学へ。といっても収穫は12月ですので、現在は苗づくりの最中で、当然イチゴは成っていません。かわりにランナーという蔓を苗にする様子を見ることができました。
茨城県のイチゴ農家さんを収穫期に訪問したことがある「Food HEROes U-30 COMMUNITY」メンバーの駒形勇太郎さんは、「茨城県のイチゴ農家さんから苗づくりの話をお聞きしたときに『ランナー』の話をお聞きしました。そのときは見ることができなかったですが、今回見られてよかったです。収穫の時期以外でも、農家さんは苦労して準備をされていることがわかりました」と話していました。


あみちゃんファームでは、今期「かおりの」「よつぼし」「紅ほっぺ」「やよい」「スターナイト」といった品種を栽培し、12月の最盛期から収穫が始まるそうです。なお「農toマルシェ」は、11月の次は年が明けて1月に開催する予定ですので、あみちゃんファームのイチゴを販売できそうです。

多品目かつ希少な品種の果樹を育てる|髙橋果樹園
「髙橋果樹園」は、立川市柏町を中心にあわせて5hの果樹畑をもつ果樹農家さんです。ちなみに、東京都の果樹農家は、全農家の1/10ほどしかなく貴重な存在でもあります。
園主の高橋尚寛さんは、果樹園として就農してから約15年の経験を持ちます。以前は代々、養蚕や植木を中心に家業を営んでいたそうですが、尚寛さんが後を継がれてから本格的に果樹栽培に転換されました。最初に始めたのはブルーベリーで、その後、栽培品目を増やし、現在ではイチジク・桃・ブドウ・柿・キウイフルーツ・梨などを栽培するようになりました。

栽培している品種は、近年の異常気象に対応できる品種や栽培管理の工数が少ない品種(たとえばシャインマスカットなど)を導入しながらも、東京都のオリジナル品種(稲城梨や東京ゴールドキウイ)を栽培しています。髙橋さんは、「昔からやっているわけではないから。東京らしい果物を作りたいと思ったらこうなりました」と話しますが、その背景には、暮らしのなかで育つ東京都産だからこそ果物から感じられる季節や土地の個性を届けようとしているように感じます。






また、整頓された果樹園の美しさも髙橋果樹園の特徴のひとつです。畑をつくる際に髙橋さんは、畑のイメージを精密に組み立ててから動き出すそうで、日光の当たり具合や風の通り方、誰にとっても収穫のしやすい環境などを加味して行っています。それによって整備・整頓された美しい圃場ができるのです。
とくにキウイフルーツやモモの畑に入ったときの木漏れ日がさす樹下は、「きれい」という言葉が自然と漏れてしまうような空間でした。





11月には東京都産のブランドキウイ「東京ゴールドキウイ」や柿などが出荷できそうとのこと。髙橋果樹園のフルーツをマルシェやキッチンワゴンで販売できそうです。
女性農業者グループ「花果野マルシェ立川」を仲間とともに立ち上げた|あさみ農園
あさみ農園は、立川市幸町に圃場をもつ兼業農家です。農家仕事を、平日は浅見恵子さん、土日はご主人と一緒に守ってきました。少量多品種で野菜や果樹、花などを減農薬で栽培(一部、無農薬栽培もあり)しています。
春には小松菜、菜花、分けつネギ、キャベツ、フキなど、夏にはトマト、ナス、キュウリ、ピーマン、ズッキーニ、エダマメ、シシトウ、モロヘイヤ、赤じそ、トウモロコシ、カボチャなど、秋にはさつまいも、カブ、ブロッコリー、春菊、里芋など、冬にはアスパラ菜、ダイコン、ニンジン、ブロッコリー、白菜、キャベツなどを育てています。これらの野菜は、おもに減農薬で栽培されており、地域のスーパーや直売所などに卸し、販売をしています。
珍しい菊芋を育てているという浅見さん。「大好きなんですが、いまいち反響がなくて」という声に、Food HEROes U-30 COMMUNITYの参加メンバーで、フランスから料理留学から帰ってきたばかりの横地慧亮さんは、「フランスでは、トピナンブールといって料理でよく使われているんですよ。ピューレにしてお肉のソースにしたり。おいしいですよね」と、フランスでの体験を話すと、浅見さんも「食べておいしい体験を料理人のみなさんと一緒に伝えていけたら」と、料理人と生産者のコラボレーションの大切さを話していました。



畑を見学したあと、ハウスではなく路地で栽培したというトマト(シュガープラム)をいただいたところ、肉厚で甘く、力強い味わいを感じました。
また浅見さんは、立川市の女性農業者グループ「花果野マルシェ立川」を仲間とともに立ちあげました。地域の農業活性化と女性農業者のネットワーク構築を目指して結成された「花果野マルシェ立川」は、農産物の直売やイベント出店を通じて、地域住民との交流を深め、地産地消の推進に貢献しています。
「花果野マルシェ立川」も同じように悩みをもつ女性農家たちを知り合うなかで自然発生的に生まれたもので、現在は10名ほどのメンバーでマルシェなどを企画しています。

11月のマルシェでは、浅見さんはもちろん「花果野マルシェ立川」のメンバーも来場していただきイベントを盛り上げてくださるそう。「ファーマーに会えるマルシェ」である「農toマルシェ」を、どうぞお楽しみに!
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今回は、立川市の農家さんをさまざま回ってきました。次回のマルシェの出品品目の確認やフード開発のアイディア集めという当初の目的を達成したことはもちろん、それぞれの生産者さんの想いや課題を知ったことで、私たちが行っている東京都産野菜のPRである「農toマルシェ」が、改めて責任のある仕事だと実感できる時間になりました。
11月のコピス吉祥寺での「農toマルシェ」、どうぞご期待ください!