家庭系廃食用油回収について

プロデュース

[クライアント] 各自治体
[実施期間] 2024年11月

廃食用油の需要面における変化

廃食用油と調理などで使用された使用済の食油を指し、食品の調理工程で使用されることが多い。

昨今、世界的に航空業界の再生燃料SAF等のエネルギー利用需要が高まる中、既存の“事業系“廃食用油を回さず、未回収の”家庭系”廃食用油を活用することで、食料とエネルギーの両方の需要を満たすことが期待されている。

1990年以前は飼肥料・工業原料として使われていたが、1997年の京都議定書発効に伴い自動車向けのバイオディーゼル燃料に注目が集まった。2010年以降、世界的に燃料系需要が急拡大し、日本政府も2020年に2050年カーボンニュートラル宣言を行って以降は廃食用油利用が過熱し始める。

国内のUCOの需給バランスは完全に逆転しており、国内で有効利用を促進するための原料が圧倒的に少ない状況となっているため、未利用資源の発掘や国内需要のマスバランスを考慮した取り扱いが必要だと考えられる。

自治体の家庭系廃食用油の取り扱い

家庭系廃食用油の処理は各基礎自治体が取り扱う権限を保有するため、家庭形廃食用油の取り扱いは個々で異なる。元々は、「家庭系一般廃棄物」として取り扱われてきたものの、SAFなどの燃料利用に向けて有価性が認められるため最近では「有価物」とみなして買取を認める基礎自治体も多い。ただし、有価取引の場合は、商取引となるため廃油の取り扱いに関しては廃掃法が適用されなくなるため、適切処理がなされずに流通リスク、さらには有価性が損なわれた場合に回収するために事業者が来なくなるリスクなどが存在する。

トレーサビリティデータの必要性

SAFにおいては、CORSIA認証(=製造ではなく、サプライチェーン全体で適切に回収や処理が認証)されたSAF(CEF:CORSIA適格燃料)のみを国際的に取引されることとなり、特に家庭系廃食用油の回収ポイントは多岐にわたるため回収のトレーサビリティは非常に重要である。また、SAFに限らず、他の燃料利用においても同様にトレーサビリティデータの必要性が求められている。

自治体が求める脱炭素施策への貢献

「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ」を表明している自治体は東京都内だけでも48市区町村存在し、全国では1718市区町村のうち1078市区町村が表明している。一方で、具体的な脱炭素施策というのが各市区町村で持ち合わせていないケースが多く、脱炭素施策が求められている。

家庭系廃食用油の回収は、そもそも未回収であることと、回収して燃料等に再資源化することで、化石燃料等の代替になることから脱炭素効果を生み出したとみなせるため、各自治体が進める脱炭素に貢献できる。また、トレーサビリティデータを取得している場合、そのデータを活用することで脱炭素効果を可視化でき、普及啓発に活用が可能。

目的

家庭系廃食用油のデジタル(トレーサビリティデータ)およびフィジカル(廃食用油)両方の回収を推進するとともに、各基礎自体と連携して回収に必要な事例などを整理してどこでも安心して回収できる環境整備をすること。

方針

方針内容
1東京都内における回収拠点の整備①連携先の豊島区において回収拠点を整備
②他基礎自治体と連携して回数拠点を整備
③民間企業と連携した回収拠点整備
2東京都内におけるトレーサビリティデータの取得上記②の基礎自治体と連携して回収拠点と合わせてトレーサビリティデータを取得
3インセンティブモデルの構築回収協力を促進するためのモデル構築
4基礎自治体との回収方法の協議自治体と連携した定期的な勉強会の設定

進捗

令和6年度 東京データプラットフォームケーススタディ事業 家庭系廃食用油トレーサビリティシステム構築プロジェクト

◼️実施目的
家庭系廃食用油の回収から再利用までのトレーサビリティデータを取得できる仕組みを構築し、その成果をTDPFのコミュニティを通じて都内各自治体に共有する。

◼️プロジェクト実施概要
豊島区において家庭系廃食用油の回収スポットを新たに設置し、既存の設置場所を含めた全ての回収スポットにおけるトレーサビリティデータを取得する。
回収したデータを元に、回収出来た廃油量や脱炭素効果、さらに他の自治体にて回収が見込める廃油の予想量を可視化する。
可視化データを元に、回収方法やルール等を自治体横断で情報共有・議論できる場を構築する。

◼️リンク
https://www.digitalservice

豊島区内における廃食用油回収推進

2024年11月より、豊島区環境清掃部ごみ減量推進課と連携して、民間企業の施設に廃食用油回収拠点を整備して、豊島区内における回収量促進を目指す。本店営業部に設置して、順次拠点を増やしていく展開となっている。

◼️リンク
http://ikebrooklyn.jp

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